強引上司と過保護な社内恋愛!?
メカニカルエンジニアとして赴任したものの、その他に現地の下請け企業との契約や、工程管理のための定例会議など、業務は多岐にわたる。

まあ、優秀な俺は全てを卒なくこなしているけどね。

今日もCADで製図をした後に定例会議に出席する。

先日、契約している地元下請け企業の代表が夜逃げした。

工期の遅れを少しでも取り戻せるよう、新しい下請けを何とか手配し事態を乗り切ったものの、日本じゃまずこんなことは起こり得ない。

昼食に、ニーさんが作ってくれたナシチャンプル―――白い御飯の上に色々なオカズが乗っかった料理―――を頬張りながら本社へ提出する経過報告書を作成する。

ふと、デスクに置かれた不細工なアライグマの人形と目が合う。

こんな時に何だけど、無性に泉に会いたくなった。

あの細い身体をギュッと抱きしめて、いい匂いのするサラサラの髪に触れたい。

しかし、彼女は男とバケーション…

生意気な小僧に肩を抱かれながら微笑む泉の姿が頭を過る。

「くっそ…」

やはり恋愛なんて阿呆のすることだ。

改めて、俺は仕事に生きると決意した。
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