強引上司と過保護な社内恋愛!?
「無理しない方がいいよ。ソフトドリンクもあるからさ」

五十嵐さんはニコリと微笑み、ドリンクメニューを手渡してくれた。

「ありがとう…」ございます、と言いかけたが、上から手が伸びてきてヒョイっとメニューを掠め取っていった。

見上げると、桧山さんがニヤニヤと底意地の悪い笑顔を浮かべて私を見下ろしている。

「え…と、あの」

どうしよう。返して欲しい。

桧山さんは「すいませーん!」とデッカい声で店員さんを呼びとめる。

「日本酒5合持ってきてください!温燗で!」

桧山さんのオーダーに松井課長がギョッとした表情を浮かべる。

「あんた…まさか泉ちゃんにもアレをやらせる気?!」

「勿論です。自分はジェンダレスな男ですから」

うちわ代わりにメニューでパタパタ煽ぎながら桧山さんはニヤリと不敵な笑みを浮かべた。

何なんだ…この人。超感じ悪い。

「桧山、お前いい加減にしろよ。田母神さんは女性だぞ?」

「おいおいおい、五十嵐よ。お前は相変わらずフェミニストだな。ミスパーフェクトが女子だからって差別すんのか?セクシャルハラスメントだぞ」

お前の方がよっぽどだ、と言ってやりたいが内気な私は心に留めておく。
< 30 / 360 >

この作品をシェア

pagetop