強引上司と過保護な社内恋愛!?
人影がまばらになったオフィス。

異動前に引継ぎの資料を作成していたらすっかり遅くなってしまった。

時計を見ると既に21:00を回っている。

肩を回しながら首をコキコキ鳴らす。

見慣れたフロアをボンヤリと見渡すと、ぽっかりと空いた胸の隙間に、感傷的な気持ちがするりと入り込んで来た。

新入社員で大手ゼネコンの美嶋建設へ入社し、支店配属を経て資材管理部に着任になったのは、蝶よ花よとチヤホヤされる20代真っ盛りの事だった。

それから5年。

気がつけば、あっという間に月日が経っていた。

一緒に入社した同期の半分以上は結婚や転職を機に退社していった。

残っている同期も其々の部署で頭角を現している。

だけど私は宙ぶらりん。

結婚できるような彼もいないし、転居を伴う転勤はない一般職員なのでモロ男性社会のこの会社ではロクな出世も望めやしない。

そんな閉塞感に息が詰まって転職を考えた事もあったけど、今以上に優遇してくれる会社はなかった。

あったとしても私のキャリアじゃ採用されない…っていうね。

極力、波風は立てず、ミスもせず、淡々と仕事をこなして来たけど、この歳になるとそれではダメなのかもしれない。
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