強引上司と過保護な社内恋愛!?
「S区公営住宅の住民対応につきましては今朝方決着がつきました」

どうやら、それで現場に直行してたみたい。二日酔いでサボっていた訳じゃなかったらしい。

「和解金を支払ったのか?」

大隈部長が尋ねる。

「区の方から気持ち支払ったようです」

「当社持ち出しは?」

「ゼロです」

桧山さんがきっぱり言い切ると納得したように大隈部長は大きく頷く。

「魔法でも使ったか?」

「誠心誠意話しに耳を傾け、真摯な態度で説得した結果です」

大隈さんの問いに桧山さんは澄ました顔でシレッと答えた。

絶対嘘だ。何か裏で手を回しているに違いない。

「ここから工期の遅れを一気に取り戻して行く見込みです。来週また追って経過を報告致します。他にご質問は?」

会議室はシンと静まりかえる。

あれだけ騒いでいたおっさん達もどうやら納得したようだ。

「以上です」

発表を終えて桧山さんと私は席に座る。


突然現れて、ぐうの音も出ない報告をさらっとしてくれちゃって…。

その凛々しい横顔を横目でチラリと盗み見る。

頼もしい、なんて迂闊にも思っちゃった事は胸の内に秘めておこう。
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