強引上司と過保護な社内恋愛!?
「おいで!ラスカル!」

スターリンさながら、桧山さんは私を呼びつける。

「あの…やめてくれませんか?これ以上私に変なあだ名をつけるのは」

ミスパーフェクトだけでも嫌なのに…。

私はじっとり恨みがましい視線を向けるが、桧山さんは無視だ。

営業会議を恙無く切り抜けて―――と言っても桧山さんのお陰だけど―――午後は外出に同行する。

仕事が残っているから、とやんわり拒否したものの、桧山さんに通用するわけもなく、半ば強引に連れ出される羽目になった。

トレンチコートを羽織り桧山さんと社屋を出る。

木枯らしが顔に吹き付け、その冷たさに思わず目を瞑った。

季節は移ろい、何時の間にか街には冬の気配が漂っている。

「お昼は何処で食べる?」

桧山さんは寒さなんか気にも留めずご機嫌な様子だ。

外出がてら、ランチは外で食べることになった。

「適当にラーメンでも食べますか」

「本当にお前は安い女だな」

私の回答に桧山さんは同情の眼差しを向ける。

「こうゆう時は『うなぎ食べたぁい!桧山さんの奢りなら』とか可愛くおねだりしてもいいんだぞ?頑張ったんだから」

「うなぎはそんなに好きじゃありません」

あっそ、と桧山さんは呆れたように目を細める。
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