ねぇ、松風くん。
「俺も下手っぴ!…葵はすげぇ上手いけどな。」
そう言って松風くんの肩をポンポンと叩いた高瀬くん。
「……。」
無言の松風くんに”どうした?”と高瀬くんが首をかしげる。
「あ、私たちそろそろ行くね!練習頑張って。」
これ以上、長居は無用。
そう判断した私は高瀬くんにそう伝えると”行こ”と菜穂の腕を引っ張った。
しかし、背中を向けて一歩踏み出した私に
「………佐々木さん。」
やっぱり抑揚のない、でもとても澄んだ声が届いた。