ねぇ、松風くん。



***


「わー、雪。さむ。」


もうすぐクリスマスがやってくる。
学校は、期末テストを無事に終え、5日ほど前からついに冬休みに入った。


お母さんから頼まれて、晩ご飯の材料を買い出しに来た私は、クリスマスイブを明日に控えた今日、見渡す限りカップルでごった返す街の中を1人で歩く。


みなさん、イブは明日ですよー。
フライングですかー。


もしも本当にサンタさんがいるのならば、松風くんを下さい。

なんて、自分で思っておいて笑ってしまいそうになる。


そんな事あり得るわけないか。


「早く買い物済ませて帰ろ。」


誰に話しかけるでもなく、独り言をポツリポツリと呟いては少し寂しくなってきた。
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