月、満ちる夜に
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どうして悲しい表情をするのか理解できなかった。
自分の腕を掴んだまま離さない彼女がなにを悲しんでいるのか。
こんなに変貌しきった異世界のような場所で生きる彼女に、理解できると思って話したわけでもない。
それなのに、なぜか胸のざわめきが鎮まらない。
怒りとは違う。
別の感情に心が乱れるのだ。
「悪かった。おまえに八つ当たりしたかったわけじゃないんだ」
しかたなく香月に詫びると、胸のわだかまりが軽くなる。
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