without you
いつものように、社長の後姿を見送っていると、2・3歩歩いたところで社長が「あー木戸ー」と言いながら、こっちをふり向いた。

「はい?」
「忘れんなよ」
「なにをですか」
「スマーイル。ここ上げてニッと笑え、ニッと」と社長は言いながら、両手の人さし指で、両方の口角を不自然に上げている。

それが、私には「そこまで上げなくてもいいのに」って思えて・・・ついクスッと笑ってしまった。

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