without you
19
「これ・・・」と私が呟いたとき、包装紙は床に落ちていた。
そして私は、中から腕時計を取り出すと、社長にも見えるように、目の前に掲げ見た。

「全く同じのは見つからなかったから、極力似たやつにした。おまえはそういう感じが好みらしいし。別につけなくてもいいみたいだが、あってもいいんだろ?」と社長に聞かれた私は、コクンと頷くと、左手首に腕時計をつけた。

「社長。ありがとうございます。大切に使います」と言う私に、社長はニコニコしながら、満足気にウンウンと頷いた。

本当に。
護身術の稽古の時は絶対外して、なるべく傷をつけないように。
高級ブランド物だから長持ちさせたいとか、そういう理由じゃなくて。

久遠社長からいただいたものだから、大切に扱おう。


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