without you
あみかの秘密が何なのか、全然知りたくないといえば嘘になる。
だが、こいつが言いたくなければ、別に言わなくても構わない。

ただ、今はぐっすり眠ってほしい。
せめて眠ってる時くらいは、悩みを忘れてほしい。秘密を捨ててほしい。
いつもハリネズミみたいに体中からむき出している警戒心のトゲを、寝る時くらいは引っこめることができるくらい、安心した環境を作ってやりたい。
とか!
俺、女にそこまで思ったのは初めてなんだが!

ま、少なくとも今のあみかは、さっきより無防備な顔で寝てることに満足しながら、俺はサイドテーブルにこいつのメガネをそっと置いた。

・・・度が入ってねえってのが、意味分かんねえんだが・・・。

そして俺は一瞬だけ考えた後、あみかの首にかけてある俺の真っ赤なネクタイをそーっと抜き取って、部屋を後にした。


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