without you
私は、泣きながらやっと退職届を書き上げると、それを白い封筒に入れて封をした。

・・・仕事、辞めたくない。
まだまだ久遠社長と一緒に仕事をしたい。
好きだから、社長と一緒にいたい。

でも、社長のことが好きなら尚のこと、離れないといけない。
社長に危害が及ぶ前に、つながりを断ち切る。

久遠純世さんのことが好きだから。
彼を愛しているから。

・・・こうして私は、また信頼を失うのか。
愛する男性の信頼を失うことは、家族の信頼を失うことと同じくらい、辛くてキツいな。
でも、私に残された術は、逃げ出すことしかない・・・。

『まーたおまえは。クールに俺を突き放す・・・』

私は、濡れた頬を手で拭って、スクッと立ち上がった。
次にすることは、歯磨きと洗顔。そして着替え。それから・・・。

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