without you
「それで私は、この人とはもうつき合えないと悟ったんです。向かっている方向も、道も、お互い違う上に、永遠に同じになることはないだろうと気づいて。私はその場でもう別れましょうと言いました。あいつは呆然としてたけど、お大事に、と言って。置いてた荷物を持って、鍵を返して、うちの鍵も返してもらって、自分の家に帰りました」
「おまえはその当時、両親と一緒に住んでたのか?」
「いえ。短大からずっと東京で、ひとり暮らしをしてました。小さい頃から料理が好きで、料理研究家になると言ったとき、両親は応援してくれました。妹も」
「そうか・・」

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