魂‐soul‐
湊はスイッチが入ったかのように手当たり次第、人形や置物をぶちまけた。

自分が知らない間にだいぶストレスが溜まっていたようだ。

冷静になって見回すと、四方八方に人形が散らばっている。
 
「はぁ…」

溜息が大気と触れた。

無事を祈ることしかできない悔しさから唇を噛みしめた。

足元に視線を落とすとくまの人形が目についた。

何かおかしい。

ただの人形のはずなのに違和感を感じる。

拾い上げてみると、くまの右目と左目に大きさが合っていないことに気づいた。
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