魂‐soul‐
結局何のスイッチだったのだろうか。

押してから小一時間は経っている。

ソファに腰掛けながら様々な思案を巡らせる。

静寂な部屋の中、誰かがこちらに向かって歩いて来る音がした。

顔を上げてドアの方向に視線を向けると長身の男、槙人が視界に入った。

湊は視線を外すことも逃げることも出来ず、ただ硬直したようにソファに座っている。

「残念だったな」
 
槙人は開口一番にそう告げた。
 
「お前は負けた」
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