魔女に恋した王獣



  ねぇ、ジン…。

 ジンと過ごした日々は、凄く幸せだった。


 生きる希望のなかった私に、ジンはたくさんのものをくれた。

  痛みも。愛も。仲間も。

 まぁ、最後まで仲間って言うほど親しくはなってないけどね…。


  それでも、皆がいると心が暖まった。

 もらうものばっかで、あげた事が少なかったけど。

 この小指にはまるシンプルなリングが、私の胸を落ち着かせる。

 

 辛いことの方が多かった人生。

 嫉妬することの方が多かった人生。

 一人でいることが多かった人生。

 痛い思いをすることの方が多かった人生。


 そんな私の世界に、ジンは簡単に入り込んできて。

  いつも、私の頭の中をちらつく。

 どうせなら、最後までジンの側にいたかった。

  
  ジンと一緒にいたかった。

 
  だけど、最後までジンに見せれる自信がないから。




  ごめんね…。ごめんね、ジン…




  貴方のすべてが大好きだった…。



  貴方といた時間は、凄く幸せで。

   なくしてしまうのが怖かった。

    いまだって凄く辛くて。

   私は、貴方の笑顔がみたい。
   

  私のせいで傷ついてる顔じゃなくて、笑顔が。

   
   
 

  こんな私に、幸せをくれてありがとう。





 例え離れても。もう二度と会えなくても



      「愛してる…」







  その言葉は、ジンに届くことなく



       消えていった…ーーーーー
  










              
              END
   
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