飛べ、ペンギン
sun


「田中美月だよね!」

昼休みのこと、急に日向順が話しかけてきた。
その純粋な瞳で私に話しかけてきたのだ。
驚いた。
というか、夢かと思った。

なぜなら私はいわゆるクラスにひとりはいるっていう
“ぼっち”というポジションの人間で
読書と勉強が命…って思われてるような人間だから。
でも彼は真っ直ぐ私の目を見てくれていた。

「あれ、間違えた?」
「ううん!」

精一杯の言葉だった。

「よかった、合ってて」

彼は満面の笑顔でそう答えた。

言葉、返してくれた…私はただそのことが嬉しかった。
それと同時に体温が上がっていくのを感じて、彼から目を反らし、窓の外に視線を向けた。

やっぱり無理。

しばらくの沈黙のあと、ゆっくりと彼が私の机の前から去っていくのがわかった。

私は弁当を机に出し、ふたを開けた。
冷凍食品のグラタンと、昨日の夜ご飯で残った唐揚げと
玉子焼き、タコさんウインナー。

美味しい……
友達と食べたらもっと美味しいのかな?




「相田夢に神崎瞳だよな!」

と、違う女の子に名前を聞く彼の声が聞こえた。



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