夢見のさだめ
「ランスロット王子はいつもどんな本を読んでるの?」



アイリス様の部屋を出て二人で歩いていて、ふと思いついた事を口にした。



「色々読むよ。 童話や歴史、天文学とか……エヴァは本は読まないの?」

「私は小さい時に絵本を読んでたくらいで、他に本を読んだ記憶ないかも」



本が嫌いなわけじゃないけど、中々読もう!とはならないんだよね。


パパはよく本を読んでるけど、どれも難しそうな本ばかりで、私が読めそうな本は一冊もない。



「お勧めの本があるんだけど、良かったら読んでみない?」

「いいの? 私でも分かるような本?」

「アイリスが好きで、よく読んであげてた本なんだ」

「借りちゃっていいの?」

「勿論だよ」



「少し待ってて」と言われて門のところで待っていると、ランスロット王子は息を切らしてやってきた。


急いで取りに戻ってくれたんだな。


ランスロット王子から受け取った本は童話の本だった。


お礼を言って馬車に乗り込み、私は家路についた。



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