お嬢様の秘密III
本家に着いた私たちは会長室に通された。


着ていたドレスのシワがないことを確認し、中に入った。


「こんにちは、お祖父様。」


「おお、ユリ。よく来たな。ここは人払いしてあるから普段通りでよいぞ。」


………普段着用に着ろと言われたドレスを着てるから無理よ。


「そして………正式に挨拶は初めてだろうか。浅井さん。」


私の後ろにいた夏菜はスッと私の横に出て深く頭を下げた。


「そうですわね。初めまして、秋本様。」


「まあまあ、そう固くせずとも。ご両親によろしくお伝えください。」


手を差し出したお祖父様ににこやかに応じていた。


「で、お祖父ちゃんは今人払ったって言ってたよね?大事な話なの?」


急に話し方を変えた私に夏菜はギョッとした顔になっていた。


「ああ。かなり機密事項じゃからな。でもまずは浅井さんに話さなきゃいけないことがある。」


夏菜に?


だから本家に呼び出したの?


お祖父様はパチンと指を鳴らし、それを合図に入ってきたドアが開いた。


「やあユリ。久しぶり。」


「………お父様?」


「大樹、ユリ達を奈々子の部屋に案内してくれんか?そのあとまた呼ぶから。」


夏菜を残すなんて不安しか無かったけれど、お父様に無理やり引っ張られて会長室を退出した。


-ユリside end-
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