お嬢様の秘密III
「まあまあ、落ち着いて。」


それまでほぼ沈黙を守っていた総監が口を開いた。


「ようは孫がとられて悔しいだけなんだよ。大樹もそうだろ?」


「....認めよう。娘を取られて悔しい父親なんていないだろ。」


....すさまじい冷気をばらまいて俺に向けてくる。


俺は....娘をくださいってこの方たちに言わなきゃいけないってことか。


「高澤様、誰からユリを、奪わなきゃいけないのか認識すれば今後もはかどるんじゃないのか?」


誰から...。


左から順に秋本グループ社長、会長、現警視総監、世界的モデル。


「あら、私が抜け道とでも思ってらっしゃる?」


雪穂様について正直何も知らない。


バリアが固いせいだが...警視総監の妻なんだ、それは固いはずだ。


「旧姓は岸田。雪穂の父親は岸田勘助。」


き、岸田だと!?


「法界を兼任後、官房長官になった岸田家の方だったのですか...。」


「そうよ。お父様が政略結婚押し付けてきたから、辰彦と駆け落ちしたのよ。で、辰彦の父親が警視総監だってことを結婚した後教えてやったら、目の色変えてきたわ。」


しれっと話しているが結構な秘密聞いてるぞ、俺。


改めてユリを取り囲むバリアは固いことが判明した。
< 64 / 67 >

この作品をシェア

pagetop