お嬢様の秘密III
「本日は私の至らなさを存分に理解できます。」


俺がそう謝っている間にも北原は資料を人数分配っている。


仕事はできるからな、北原は。


「なるほど....モデル業界、政界関係は私は把握してる人とそうでない人が交じっている感じね。」


「警察関係は国松が呼ばれてるから大丈夫だな。」


「じゃが問題は桜井が呼ばれておらんからな...。弥生も考えてるというわけじゃな。」


うちのパーティーは執事を連れ込めないのだ。


本当に招待された人のみ。


「でもユリに行かせるしかないだろ?幸い、高澤のパーティーは真理亜の誕生会の次の日な上に会場が目と鼻の先。俺と親父は真理亜の誕生会に顔を出したらそれぞれ出張はいってるし。」


「私は呼ばれてるわね...。辰彦は会議だから参加できない。弥生は私と親戚関係なの知らないみたいね。」


雪穂様のガードは完璧だからな、クソ婆なぞに知れるわけがない。


「...。分かった。雪穂が参加するならうちからは代表としてユリを行かせよう。秋本家の人間だと知られていないのがネックだが葵を信じるしかないじゃろう....。」


俺個人的にはユリが着飾ってる姿を見たいという下心が叶うわけだが。


大樹様からのにらみが半端ない。


秋本会長がパンとひとつ、手をたたいた。


「秋本誠一郎の名にかけていう。貴殿のパーティーに我が孫娘を参加させよう。」


「分かりました。お待ち申しあげております。」


俺は席を立って一礼した。


そのまま立ち去ることを許されたわけだが...。


緊張が解けたのは家に帰ってきた時だった。


-葵side end-
< 66 / 67 >

この作品をシェア

pagetop