月は僕らと。



「...さみしいの」

「うん」

「...とても、さみしい」

「うん」

「...どうしたらいいのか、わからないの」

「大丈夫、僕がいる」


そう言って彼女を見つめれば、彼女の不安げに揺れる瞳が、少しだけ落ち着いた気がした。


「...ありがとう」

「今日はもう寝よっか、一緒に」


それから、僕らは月明かりに照らされ、決して広いとは言えないベッドで、二人抱き合って、静かに眠る。


君が "さみしい" と泣くのなら、君が泣き止むまで抱き締めよう。君が "嫌わないで" と言うのなら、君がわかるまで幾度となく愛を囁こう。


もし君が "共に死のう" と言うのなら、僕は喜んで、君と共に死のう。



明日がくれば、また君はいつも通り笑って。それから、少し経てば、発作のように彼女はまた、"さみしい" と "嫌わないで" と泣くだろう。


そしたら、また、月明かりに照らされ、決して広いとは言えないベッドで、二人抱き合って、静かに眠ろう。




*end*
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