第二秘書は恋に盲目
槇島さんと社長が戻ってきたのは夜の9時を回った頃。

「なんだ笠原、まだいたのか。俺は帰るぞ」

鞄の中の資料をデスクに戻して、さっさと帰り支度を始める槇島さん。

「はい、私は少し、社長に話があるので」

俯き加減にそう言うと、槇島さんは私のデスクの前に立ち、片手をついた。

「余計なことをするな。
家庭の事情に踏み込む気か?」

私の考えなど、槇島さんはお見通しだった。

「…、あやめちゃんの家庭教師として、報告があるだけです」

私だってここで引いてられない。あやめちゃんは、社長が来るのを楽しみにしてたんだから。

槇島さんと私の間で暫く睨み合いが続いた。
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