第二秘書は恋に盲目
いや、実際楽しんでるか。
たぶんその時に俺は、黒い笑みを浮かべていたんだろう。
そりゃあ、千歳をいじめるのは楽しいよ。
楽しくて仕方ない。

「楽しいにも色々あるんだよ」

それにしても、あやめちゃんも調子を取り戻してきたようだ。この気位の高さがあってこその桐山あやめだ。

「ふーん。
じゃ、そろそろ行くから。
お世話になりました。またね」

そう言って、リュックを背負うと玄関を出ていった。

今から、おそらく初めて父親に思いの丈をぶつけるであろう少女の背中を見送る。
またなんてないけどな、と思いながら。
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