第二秘書は恋に盲目
そして次の日。
嬉しいとか、気恥ずかしいとか、そんな一言では言い表せないような複雑な感情を抑え込みながら仕事をしていた。
少しでも気を抜くと、叫んでしまいそうで。

待ち合わせまであと10時間。
あと5時間。
あと2時間。
時計ばかりがずっと気になってきた、何度も確認してしまう。

待ち合わせまであと1時間。もうすぐ仕事終わりだと思い始めたとき、社長から呼び出しがあった。

これは、物凄く嫌な予感。

「なんでしょう」

「会社説明会の日に予定がはいった。日時を変更する」

「え、ですがもう資料は出来上がっていて、あとは郵送するだけです」

「まだ郵送してないのなら何とかなるだろ」

「…何とかします」

…駄目だ。郵送する会社説明会の資料はおよそ5000部。日時の部分だけシールで貼るとしても、どれだけ時間がかかるかわからない。
どう頑張ったって、間に合わない。
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