第二秘書は恋に盲目
「はぁーあ…」

息が続く限り溜め息が駄々漏れる。

「気が散るから溜め息なんかつくな。
社長に何を命じられた?」

「会社説明会の日時の変更です。しかも前倒し。資料はもう出来上がってるから、急いで変更のシール貼って郵送しないと」

あと孝宏さんに、行けなくなったって連絡しないと…。

「じゃあ、俺は資料運んでくるから、笠原はそのシールを作ってこい」

「え?」

「分担した方が早く終わるだろ」

「ありがとうございます」

ありがたい。一人でやれば絶望的な時間でも、二人でやれば単純に半分の時間になるんだから。
待ち合わせの時間には間に合わなくても、これでもかってくらいの力を発揮できればギリギリ会えるかもしれない。

ってなに考えてんの。
こんなふうに仕事に私情を挟み込んでるんじゃ、私の嫌いな恋愛脳で仕事を疎かにする女になってしまう。
いかんいかん!こういう時こそしっかりしなきゃ。
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