第二秘書は恋に盲目
「さー…」

私が知るはずもなくて、須藤先生を見る。

「他にも病室を回らないとならないので、これで失礼します」

あ…。
須藤先生は、不自然に会話を切り上げて廊下へ出ていった。

忙しそうだな。
悠長にそんなことを考えていると、目の前をあやめちゃんが通りすぎて行った。

「え!?
どこ行くの?」

「ちょっと急用思い出した」

「急用!?」

勉強道具もそのままにするほどの急用って…。

「大丈夫、病院からは出ないから」

いやいやいやいや。
病院内で済ませられる急用って何よ!?
絶対須藤先生追いかけて行ったでしょ!

これは…危機なんじゃない?
私の入院が原因であやめちゃんが変な男に引っ掛かったと社長にバレた日には…、国外追放くらいされてしまいそう。
あやめちゃん、周囲の男子が子どもっぽいからって須藤先生を追う必要はないでしょ?
気を確かに持って!
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