第二秘書は恋に盲目
「風邪で千歳ちゃんが入院して、私が着替えを持って行った時があったじゃない?その時、病院にある孝宏が使ってる部屋に少し入ったんだけど、机の上にチョコレートが置いてあったの。
珍しいなって開けてみたら中身が1個無くなってたのよ。あの子がチョコレート食べるなんて、絶対何かあるだろうなって思ってよーく箱を見てみたら、千歳ちゃんが勤めてるホテルのチョコレートだったの!

きっと千歳ちゃんが孝宏に渡したのね。それがわかったとき、なんだか心がきゅっとなっちゃってね。ふたりは良い関係性を築けてるんだなって思ったのよ」

「…そんかことが、あったのか」

父さんのコメントに100%同意だ。今まで知らなかった兄貴の顔が、千歳が来てから次々見えてくる。

「あなたこそ、大事な娘を取られたんだから、今日は帰れ!なんて突き放すのかなって思ったのに」

母さんはそんな父さんに寄り添って言葉をかけた。
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