第二秘書は恋に盲目
そうして、俺は笠原さんに対して心の広さを見せた。
2、3日もしないで来ると思ったから。

なのに、あの女は1週間が過ぎても病院に姿を現すことはなかった。

そんな状況を八田さんは喜び、共通の話題ができたとここぞとばかりに話し掛けてくる。
「今日も笠原さん来ませんでしたよ」
「今日もですよー。
心配ですねー」
「来る気あるんでしょうか?
そうだ、一緒にお薬渡しに行きます?」

そんな、本音では一切心配してないであろう言葉を毎日聞かされ、挙げ句二人になる口実まで見つけ出している始末。

「行きませんよ」

誰が二度も持っていくか。
そんなに行きたいなら八田さん一人で行ってくれ。

笠原千歳。
理不尽に刺された被害者だから優しく接してやってたのをつけあがりやがって。
もう限界だ。
次に会うときは覚えてろ。
とことんいたぶってやる。
逃げられると思うな。

沸々と黒い感情を煮えたぎらせながら、壁にかかったカレンダーのある日にちを丸で囲んだ。
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