スロウ・スノウ



1年の頃から放課後に週2、3日程度の割合で図書室に来ていた。




特別な理由はない。


ただ、本を読みに来るだけ。



それをただなんとなく2年に上がっても続けていた。





そんなある日。







『───あ、その本……、』







男子生徒が、思わずもれてしまった、というような呟きとともにこちらを見ていた。







なんだろう、この人。


と、考えるような暇もなかった気がする。




『あっ、あの!



その本、この間も読んでいましたよね?』






『え、あ、はあ…』




突然、見ず知らずの生徒に話しかけられ、驚きのあまり間抜けな声が出た。


が、その生徒は気にした様子でもなく。





『おれ、その本とても好きなんです!』






まるで、お気に入りのおもちゃで一緒に遊ぶ仲間を見つけた、みたいな。





そんな、嬉しそうな表情。



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