愛の歌、あるいは僕だけの星

さようなら如月さん



 藤原銀也(ふじわらぎんや)、彼の人生は間違いなくイージーモードだと、周りの人間は多少の皮肉を込めつつ、口を揃えてそう言った。もしくは、多少綺麗な言葉を使って、神様からたくさんのギフトを貰って生まれて来たのだ、とも。

 薄茶色の髪に、ビー玉をはめ込んだような亜麻色の瞳。スッと通った鼻筋に均整のとれた体躯。華やかな容姿は、そこにいるだけで、周囲の人々の視線を引き付けてしまう魅力を持っている。

 大抵のことは難なくこなしてしまうくらいに要領も良く、運動神経だって抜群だ。性格には多少難ありな部分もあるけれど、これだけ整ってしまえばまあ仕方ないで済まされてしまうから問題だった。
 纏わりつくような好意と悪意に振り回されるのも日常茶飯事で、いい加減辟易もしていた。退屈なことは嫌いだけれど、面倒ごとも同じくらい嫌いなのだ。

 逃げるように他人との間に引いた境界線は、知らぬ間に感情の起伏さえ鈍らせていくけれど、それはあまりにも緩やかだった。
< 2 / 341 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop