愛の歌、あるいは僕だけの星
『あははっ、ほんと、面白すぎるな、濱ちゃんは』
いつもつけているテレビの音がする。バラエティー番組の、どこかわざとらしい賑やかな笑い声。それに重なる、笑い声がもうひとつ。
「ん……ぅっ」
今、何時だろう。随分眠っていた気がする。
手探りでスマホを手にして確認すれば、短針は五時を指していた。驚くことに、ほぼ丸一日眠っていたらしい。差し込む西日が眩しくて、小さく顔をしかめた。
「テレビ……、消し忘れたっけ」
楽しそうな笑い声。
確認しようと、ゆっくりと寝返りを打った。
「……!」
驚いて跳ね起きる。テレビの前の特等席。置かれた座椅子に腰掛けて、楽しそうに笑っている後ろ姿。
「きさらぎ」
振り返らなくたって、わかる。だって、彼女は透けているから。
『あ、藤原君。やっと起きた!!大丈夫?随分と疲れてたみたいだけど』
立ち上がって、銀也の顔色を確認する。
そうして、ふと襟元に視線を下げたかと思えば、「あっ!」と声を上げて眉を吊り上げた。