オークション
☆☆☆

一度作品を作り始めると、時間が経過するのはあっという間だった。


今までこれほど1つの事で集中した事はないかもしれない。


気が付けば夜になっていて、両親が家に戻ってくる音が聞こえてあたしはようやく手を止めた。


これまで一度も手を休めず、休憩もとらずに作っていたのだ。


「ふぅ……」


さすがに疲労感があり、あたしは大きく息を吐き出した。


でも、お陰でいい作品ができた。


あたしの前には手のひらに乗るくらいの木馬のメリーゴーランドがあった。


メリーゴーランドの下は引き出しが付いていて、ジュエリーボックスになっている。


「すごいじゃん、あたし!」


出来あがった作品をマジマジと見て思わずそう声を出す。


とにかく可愛い物をと考えて手を動かしていただけなのに、自分でも欲しくなってしまうくらいのものが出来上がった。


あとはこれにヤスリをかけ、綺麗に色をぬれば売る事ができる。


「よし、頑張ろう」


そう呟きあたしは再び手を動かし始めたのだった。
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