オークション
☆☆☆

放課後はエレナと2人で帰ることになった。


2人で学校の近くにあるお店に寄りながら帰るのは、本当に久しぶりの事だった。


最近はあたしが忙しかったり、報道陣から逃げるようにコソコソと行動していたから、なおさら新鮮だった。


2人で最寄りのコンビニに寄ってアイスを買い、食べながら移動していた。


その時だった。


「今朝ね、登校して来てから輝夜君に相談されたんだ」


エレナがそう言って来た。


「相談?」


あたしは聞き返す。


アップル味のアイスが口いっぱいに広がり、赤信号で立ちどまってエレナを見る。


エレナの買ったソーダ味のアイスはもう半分ほど食べられていた。


「藍那の事が好きなんだけど、どうしようって」


その言葉にあたしは少しだけ笑みを浮かべ、行きかう車に視線をやった。


「そんな相談されても困るよね」


「うん」


エレナは素直に頷き、ソーダアイスを食べきった。


「できれば藍那には幸せになってほしい。でも、藍那が自分から幸せを手放すようなら、あたしが幸せを祈ることはできない」
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