神恋~水神様に恋をした~


「じゃぁ、その結い紐で私の髪結ってくれないかな…?」


私を見る白は、いつものように自分でやれとか言うのかな。

でも、このお願いも私の“欲しい”気持ちだから。

我慢しないで、勇気だして言ったんだよ。


最近の私は、白の事になるとわがままになる。


帰り道、近くの岩に腰かけた白が私を呼ぶ。

彼の隣に座ると、何も言わず私の手にしている結い紐を軽くくわえ、


髪をいじる。


(横結びだ~…、)


髪を結う姿さえも素敵だと思ってしまう私は、本当に彼が好きなんだと改めて実感する。


簪と櫛は魔除けとして、胸元近くにしまった。


結い終わるとすぐに立ち上がって歩いて行ってしまう。


こう言うのはいつもの事だから慣れたけど。


水色の結い紐を身につけていることで、白をいつも以上に近く感じる。


「……良く似合っている。」


振り返ってそう言った彼は、「早く来い」と目で促す。


(似合ってるって言われちゃった…)


少しだけ顔が赤くなる。照れているとバレるのは恥ずかしいけどしょうがない。


私、今日の出来事は絶対忘れない。


これも、全部私のためだけにしたと思うと白を一人占め出来ているようで何だか嬉しい。

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