そよ風と君
*11月の雪*
遠く離れたあの場所で

温かかったあの街で

今、貴方は何をしていますか?

誰と居ますか?

弱虫な貴方は

ちゃんと笑えていますか?


また、この季節が巡ってきた。

貴方に出逢った季節。

貴方に恋をした季節。


雪が降ると

貴方が隣にいた事を思い出す。


ねぇ


逢えないのは解ってる。


ただ


笑った時に出来るえくぼを

沢山のほくろを

隣で眠る綺麗で長いまつ毛を

透き通った瞳を

高くて筋の通った鼻を

優しくて柔らかい唇も

骨ばった肩も

私を包み込んだ腕も

私の涙を拭う手も

細くて大きな足も

力強く脈を打つ心臓も


私の全てでした。


愛した貴方を

君と呼ぶ日が来るなんて。

そよ風と共に

一瞬で吹き抜けていった。

暖かくて

優しい

あのそよ風のように。



さようなら。



ありがとう。








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