Butterfly
「・・・!千穂ちゃん!!」


(きゃっ!)


突然、蒼佑さんがベッドに座る私のことを抱きしめた。

私はとても驚いて、パチクリと何度かまばたきをした。

「千穂ちゃんはなんてかわいいんだ!」

「えっ、あの・・・」

「ほんとにかわいいなー!大好きだ!!」

未だにちょっと寝ぼけた頭。

朝早く、抱きしめられたまま耳元で愛を叫ばれて、私はちょっと戸惑った。

「くっそー、なんでこんな日に呼び出しなんだ!かわいい彼女を置いて仕事なんて!」

「なんでオレは刑事なんだ!」と言いながら、蒼佑さんは私の身体をさらにぎゅうっと抱きしめる。

「苦しい・・・」ともがく私の言葉は、彼には届いてないらしい。

「いつもだったら、あと二時間は千穂ちゃんとゆっくりできるのに」

離すまいと抱きしめられる私の身体は、蒼佑さんの胸にどんどん埋もれていってしまった。


(どうしよう・・・早く行ったほうがいいんだよね)


「蒼佑さん、でも、呼び出しなら早く行かないと」

なんとか顔を上にあげ、彼に声をかけるけど。

蒼佑さんは渋い顔で、「うーん」と唸り動かない。

「わかってるけど。行きたくないなー・・・」

「でも、ほら、早く着替えて・・・。私、仕事してるときの蒼佑さん、すごく好きだし・・・」

「え?」

彼の瞳がキラリと光った。

希望を見つけた様子の彼に、私は素直な気持ちを口にした。
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