Butterfly
高校までは地元の公立学校に通って、桜葉女子学院には、大学から入った途中入学組になる。

学院自体は、幼稚園から大学まであるエスカレーター式のお嬢様学校。

歴史も古く、今年で創立110年。

親子三代で通っている、なんて子も結構な人数いたりする。

私のように大学からの入学組は、「高校まで公立で、家も普通」という小市民の子も多いけど、幼稚園や小学校から桜葉女子に通っている子は、みな、ものすごいレベルでお金持ちのお嬢様だ。


(私も大学からとはいえ・・・バイトもしてるし、一人っ子だから学費もなんとかなっているけど)


咲良のお父さんも、結構大きな病院の院長先生だと聞いている。


(どこからどう見ても、まさに『お嬢様』っていう感じだもんね)


水色のドレス姿でバイオリンを弾いていた、咲良のことを思い出す。

咲良・・・羽鳥咲良(はとりさくら)は、先ほどから話に出ている、同じ大学の友人だ。

入学式の時、構内で迷っていた私に声をかけてくれたのが、知り合いになったきっかけだった。

『もしかして、大講堂に行かれますか?』

学院のパンフレットとにらめっこをしていた私に、優しく声をかけてくれた。

隙がないくらい、完璧にかわいい女の子。

大きな目に、透き通るような白い肌。

長い黒髪を揺らして小首をかしげるその姿に、私はこれ以上ないくらい、女の子相手にキュンとした。


(うわあ・・・かわいい・・・)
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