Butterfly
一昨日の、咲良のコンサートだったデートの話題。

彼のことを思い出し、少し切なくなったけど、私は笑顔で話をした。

「蒼佑さん、咲良と会えて嬉しかったみたい」

「ほんと?私も、千穂ちゃんの彼と会えて嬉しかったよ。優しそうな彼だね」

「うん・・・」

「へへ」と笑って、恥ずかしさや、いろんな気持ちをそのまま誤魔化す。

咲良は「仲良しだね」と笑ってから、悩むように口を開いた。

「・・・あのね」

「うん?」

「千穂ちゃんに、相談したいことがあるんだけど・・・。今日のお昼、聞いてもらってもいいかな」

「?うん。もちろん」


(なんだろう?)


いつもふわふわとしている咲良が、不安げで、とても慎重な様子だった。

なんだろうと気になりながらも、一限の授業開始はまもなくだ。

これ以上、話を聞ける暇はない。

後はランチタイムを待つことにして、私は咲良と教室に向かった。





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