Butterfly
大学の講義終了後。私と咲良は、電車に乗って二つ隣の駅にやってきた。

とある繁華街にある、怪しげなネオンが光るビル。

ここの地下一階にある店に、咲良の彼氏がいるらしい。

ビルの入り口には、やけに色気のある男性や、華やかに着飾った女性たちがウロウロしながら談笑している。

こんなことでもなければ、一生足を踏み入れなかったであろう場所。

私は、カットソー素材の黒いワンピースに、ジャケットという自分の服をじっと見た。


(すごい普通の格好だけど・・・)


大丈夫かな。

咲良も、コートを脱げばワンピース姿になるけれど。

カジュアルな感じではなく、キャメル色をしたとても上品なものだった。


(咲良はいつもそんな感じだけど・・・。いいのかな、私)


尻込みしていると、咲良に「千穂ちゃん」と声をかけられた。

「大丈夫だよ。入り口はちょっと怖いんだけど」

「う、うん・・・」

なんだか、咲良が急にしっかり者のオトナに見える。

私は、ドキドキと緊張しながら、彼女の後について行った。

薄暗い階段を下り、目の前にある真っ黒なドアを咲良が開くと、突然、まばゆいばかりの明るい光に包まれた。

細長い廊下。

その壁に、在籍ホストであろう男性たちの写真が、横一列にズラリと並んで飾られていた。

いつだったか、こんな光景をテレビで見たことがある。

実際に見ることになるなんて、なんだか不思議な感覚がした。
< 40 / 186 >

この作品をシェア

pagetop