Butterfly
「あ・・・これが彼なの」

咲良は、入り口から二番目に飾られた写真を嬉しそうに指差した。

その「彼」とやらの男性は、この店ナンバー2である、悠翔(はると)というホストのようだ。


(うん・・・確かに整った顔立ち・・・)


はっきりとした目鼻立ち。いかにもホストといった風貌。

妖艶な雰囲気は、まさに夜の世界の人だった。


(苦手なタイプだけど・・・ホストっていうと、だいたいこういうイメージだよね)


そんなことを思いながら、その他の写真は流す程度に、そのまま廊下を進んで行った。

「いらっしゃいませ」

カーテンのような幕をくぐると、ひょろりとした長身の、色の白い男性が私たちのことを出迎えた。

サラリーマンとは何かが違う、黒い細身のスーツ姿。

甘い顔で微笑まれたけど、私はなんだか怖かった。


(やっぱり・・・こういう場所は苦手だな)


心細くて、ふっと、蒼佑さんを思い出す。

優しくて明るい彼に、今すぐにでも会いたくなった。

「では・・・こちらにどうぞ」

黒い壁を、赤や紫で彩った、高級感溢れる光輝く店の中。

ところどころに散りばめられたシャンデリアの灯りの下を、先ほどの男性に連れられて、私は咲良に続いて歩いて行った。
< 41 / 186 >

この作品をシェア

pagetop