Butterfly
「でも、その・・・女の子たちを中毒状態にさせるまで、彼らは無料で配っていたわけ。

その補てん分っていうのかな・・・金額を穴埋めするために、ずいぶんお金が必要だったはずなのよ。

そのお金を援助してたのが、羽鳥さんだって私たちは考えてる」

「まさか・・・。じゃあ・・・咲良もクスリのこと、知ってたっていうんですか?」

「そうね。今の時点では推測でしかないけどね。聞き込みで証言もあがっているの。

羽鳥さん、帰るとき、必ず貴見に封筒のようなものを渡すらしいの。

多分現金が入っていたんでしょう。羽鳥さんも、貴見から何か受け取ってたって話も聞いてる」

「そんな・・・まさか・・・咲良も・・・」

「そうね。羽鳥さんが受け取ってたのも、封筒みたいなものらしいから。中身は何かわからないけど・・・多分クスリじゃないかって私は思っているけどね」


(咲良が、そんな・・・)


世間知らずな咲良のことだ。

違法薬物なんて、知識はほとんどないかもしれない。

悠翔さんに、騙されているの?

それとも・・・わかった上で、お金を渡したりしているの?

クスリは、頼まれて買っているだけ?

咲良もそれを使っているの・・・?

数えきれないほどの、ダークな疑問が湧き上がる。


(咲良、違うよね・・・!?)


考えて、急激な恐怖に襲われた。

私は、バクバクと脈打つ心臓を落ち着かせるため、手を口に当てて何度も呼吸を整えた。
< 67 / 186 >

この作品をシェア

pagetop