Butterfly
(その中に、蒼佑さんもいたんだよね)


基本的に私は、男の人はとても苦手で。

やたら男臭い(と感じた)市谷さんの同僚が集まる付近には、必要最低限の接客をして、なるべく近づかないようにとこっそり避けていたのだけれど。


(でも・・・)


『いきますよー』

会の中盤、里佳さんが放ったブーケトス。

その花束が、ぼーっと突っ立っていた私の手元に、なぜだか偶然ポトリと落ちた。


(えっ!?)


会場中の視線が、一気に私に集まった。

私ははっと目線を落とし、手の中に納まったブーケを見つめた。


(うわ・・・!これは完全にマズイ気がする・・・!)


出席者の女性陣の、「なんで!?」と言わんばかりの鋭い目線。


(そうだよね。バイトの私が受け取るなんて・・・)


どうしよう、でも返すことも出来ないし・・・と悩んでいた私に、蒼佑さんが突然声をかけてきたんだ。

『よかったですね、ブーケ』

優しそうな、人懐っこい笑顔だった。

私は話しかけられたことに驚いて、ぼうっと彼を見つめてしまった。

その場にいた男性たちと、全く雰囲気の違う彼。

刑事というより、アイドルグループの中にでもいそうな、爽やかで、かわいい感じの男性というのが、彼の第一印象だった。

『オレも、さっきビンゴでこれが当たったんですよ』

目の前に差し出された、テーマパークのペアチケット。

あまりにも唐突すぎて、かなりキョトンとしたけれど。

『良かったら、一緒に行きませんか』

『・・・え?』
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