食べちゃうよ。




上野さんは真っ赤な顔に焦点の定まらない瞳で、驚いたように諒君を見た。

諒君はそんな上野さんをじっと見つめる。





ドキドキドキドキ……



あたしの体に緊張が走る。




あたし、諒君に何言わせてるの?

本当はあたしから伝えないといけないのに。

上野さんのことは苦手だけど、誠意を持って返事しないと。





「……ごめんなさい」




あたしは上野さんに告げる。




「あたしは、諒君が好きです」




上野さんは悲しそうな顔であたしを見た。

いつもはムカつく上野さんが、なんだか壊れてしまいそうだった。





上野さん、ごめんなさい。

気持ちに気付かなくて。そして、応えられなくて。

でもあたし、少しだけ嬉しかったな。

上野さんが心からあたしを嫌っているわけではないと知って。




< 130 / 172 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop