パッシングレイン 〜 揺れる心に優しいキスを

◇◇◇

「あっくん、今日はふたりを連れて来てくれて、本当にありがとう」


見送りに出た店の前で、お父さんとお母さんは先に車に乗り込んだ。


「やっと、だな」


うん、と頷く。
安心が溜息となって口から出た。


「だから言っただろう? 時間が解決してくれるって」

「そうだね」


離れている時間は、本当の気持ちを育てる。
不安にもなるけれど、平安も訪れる。
そういうものなのかもしれない。


「二葉……」


突然、あっくんが押し黙る。


「……どうかした?」


私に向けられていた視線は、静かに逸らされた。
まつ毛を伏せて、何かを考え込むあっくん。


「なに?」

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