初恋は叶わない
「そういうの、最初に言ってくれたらいいのに。そしたら…、」


その先の言葉は、見つからなかった。


「そしたら?」


そこだけに反応した修ちゃんが、視線だけをこちらに戻す。


「かりんが慰めてくれるんだ?」


イタズラな笑みを浮かべて、

頬づえをついたまま、

私の返事を待っている。

凹んでるくせにまだ余裕ぶってるその態度に、

腹が立って、

こっちも思わず売り言葉に買い言葉で。


「慰めてほしいんだ?

人のこと散々、子供扱いしたくせに、カッコ悪い!」

「だよな。オレ、かなりカッコ悪いよなー。」

「え?」


素直に認められると、調子狂うんですけど。

なんか、らしくない。


「ホントはあの日も、かなり参ってたんだ…」


ああ、きっと、カテキョの日のことだ。


「だから、かりんが一緒にいてくれて、助かったとこあって。

けど、調子に乗りすぎたっつーか、

…海でのこともあって、つい」


謝罪の言葉はないけど、修ちゃんが両手を合わせて、

拝むように私を見るから。

そのまま気まずい雰囲気になるのがイヤで、

わざと明るく聞いてみる。


「今日は?」

「ん?」

「今日も、参ってるの?」

「んー、もうここんとこ、ずっとかな。

いいかげん麻痺してきてるかも…」


なんて言って笑ってるけど、どこか自嘲的で、

無理してるのがわかってしまう。
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