初恋は叶わない

女心

柔らかくなったアイスをすくいながら、

スプーン越しに修ちゃんを盗み見る。



昨日のこと、聞いてみようか。

なんか、すごく慌ててたし、ずっと気になっていた。



「交換する?」



私の視線に気づいた修ちゃんが、

全然減ってないパフェを私に押しやる。



「オレ、もう無理かも。

あ、すいません!」



通りかかった店員さんに、コーヒーのおかわりを頼む。

一見、いつもと変わらないように見える、けど。



待って!今の、もう無理って、そっち?

まさか、二人、ダメになっちゃったとか?



「昨日、どうだった?

レイナさんに会えたの?」



唐突すぎな私の質問に、

修ちゃんは明らかに面喰っていた。

そりゃそうだよね。

流れとか、空気とか、全然無視だもんね。

でも、ガマンできなかった。

「いや、ほら、すごく慌ててたから、

何かあったのかと思って、心配してたの」


ウソはついてない。

心配だったのは、修ちゃんのことだけど。


「それ、今、聞くか?」

って言いながら、バツが悪いのか、

修ちゃんは窓の外へ顔を向けた。


「…二人で会うのやめようってさ」

「それって、…別れるってこと!?」

「そもそも付き合ってないし」

「え?そうなの?」


意外な答えが返ってきて、こっちが返事に困った。


「んー?俺はちゃんと告ったんだけど、
相手にされてないっつーか。
…ちゃんと返事してもらってない。」

なんか、予想外の展開で頭がついてけない。

ていうか、なんか修ちゃんかわいそう?



「保留ってこと?」

「うーん、今は、誰かと付き合う気になれないってさ。」

「…じゃあ、待ってるんだ?」

「そ。俺は今、ひたすら待つ男なの」



なんて、Vサインして見せる修ちゃん。

だけど、全然笑えてないよ。

なんかもう、切なすぎる…!

意外に一途な人だったんだね。

見直しちゃったよ!
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