初恋は叶わない
汗だくになりながら、

自分の置かれた状況を、

少しずつ理解していく。


『ヒロ君の友達って、
 
 早川のことだったんだ…』


なんでよりによって、

テキトーな服にテキトーなメイク、

テキトーな髪で、会わなきゃいけないの!

MAXだった私のテンションは、

地の底まで下がってしまった。

しかも!

それだけでも終わってるのに、

そのままプールまで一緒に行くなんて!!

プールってことは水着だよ!

そもそもなんで教えてくんなかったの?

来るのが早川だってこと。

怒りと恥ずかしさでカーっとなってきたと

思ったら、あれ?

突然目の前が白く光り始めた。

目の奥で小さな花火がいくつかあがったと

思ったら、

目の前の景色が、テレビの砂嵐みたく、

どんどん細かい粒になっていく。

キーンって耳鳴りの向こうからアイツの声がした。


「おい、お前、大丈夫か?

 おい、望月、!望月っ!」


ドサッ。ガッシャーン。

私が受け止められる音。

自転車が倒れる音。

そこから先は蝉の声だけが聞こえていたような・・・。
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