初恋は叶わない

はめられた二人

「うーん…」

風に揺れる髪が、何度も頬をかすめる。

くすぐったさでうっすら目を開けると、

タオルをバタバタさせて、

懸命に私をあおいでくれている早川がいた。


「あ、れ?なんで?」


「いきなりぶっ倒れといてよく言うよ!」



早川のうんざりしたようなため息の意味がわからず、

目を瞬かせる私。


「あ~もう、びっくりしたぁ~!

マジ焦った!どうしようかと思った!」


掌で顔を覆ってうなだれる早川の向こうに、

青い空と揺れる木々が見えた。


ああ、私、さっき、倒れたんだ。


「ありがと。重かったよね…」


「重いっていうより恥ずかしいんだよな。

 お姫様だっこっていうの?」


語尾に向かってだんだん声が小さくなる。

照れてるんだ。カワイイ。

なんて思いながら、自分がお姫様だっこされてるトコ

想像してみたら、こっちも恥ずかしくなってくる。
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