儚い瞳の守り人


「ここは無双会の拠点。あいつらに……ここのことを知られなければ、比較的安全な…場所だ」


ここに来るまで最低限のことしか喋らなかった萊が、息を切らしながら途切れ途切れに説明した。


無双会……。

聞いたことのない名前。


どういう組織なのかとか聞きたいことが口から出そうになるけれど、これ以上萊を喋らせて無駄な体力を失わせたくないから自制する。


鷹姉も亜紀兄も多分同じことを思ってる。



エレベーターに乗ったわたしたちは街が小さく見えるぐらいにどんどん上へとあがって、14階でベルが鳴るとエレベーターを降りた。


萊は先へと歩いていく。


わたしたち、これからどこへ連れてかれるんだろう……。

どうなっちゃうんだろう…?


知らない雰囲気ばかりで、萊に安全な場所と言われても不安は募っていく。


無双会と書かれた看板が掲げられている場所へ萊が入っていったのに続くと、そこは少し汗の匂いが混じったなんとも言えない匂いが立ち込めていた。

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